ルールブックは、第一章のエチケットに始まり、第二章の用語の定義、第三章のプレーについての規則と続く。しかしその文字量膨大につき、なかなか全てを読破したという人は少ないはず。
現在も競技ゴルフを楽しんでいるシングルの友人がいる。かつてプロのトーナメントでキャディ経験のある彼が言うには、プロゴルファーでもボールの処し方を迷ったり、間違えそうになったりすることがあったらしい。
確かに実際のプレー局面とそこでの処し方は、事細かく、難しいと敬遠されがちであるが、あまり細部にこだわらず、あまりにもイレギュラーなケースを除外してしまえば、ある法則性があることが分かる。カテゴリー分けができる。
ティグラウンドでの打順、スタートホールはくじ引きなどで決められることが多い。次のホール以降は、前のホールのスコア順となる。スコアが良かった人から打っていく。一番最初に打つ権利をオナーと呼ぶ。先打権であり、オーナー所有権ではない。
2打目以降は、ティグラウンドの打順は関係なくなり、順不同になる。具体的には、ホールに遠いボールからプレーしていくことになり、これを「遠球先打」と呼ぶ、これは、打球事故に対する危険回避に他ならない。打球地点の前にプレーヤーが出ないような配慮である。
グリーン上も2打目以降同様、遠球先打が原則である。グリーン上のボールとまだグリーンに乗っていないボールが混在しているような場合には、距離にかかわらず、一度すべてのボールをグリーンに乗せてから、遠球先打にてプレーを再開することも多い。
私は友人のシングルさんとラウンドするとき、一つでも多くオナーを取ることを目標に頑張る。彼は知らないだろうが、ささやかな私の楽しみである。
ゴルフでは「あるがまま」(PLAY THE BALL AS IT LIES)でのプレーが、大原則であるが、それが難しいケースも多々ある。
林に打ち込んだボールを時間無制限で探すわけにもいかず、脱出不能な茂みの中のボールやウォーターハザード内のボールを打てというのも酷な話で、ましてやカラスや犬などに持って行かれたボールを追いかけていてはゲームにならない。
例外のない規則はないというが、ゴルフのルールも然りである。こんな時は、罰打ペナルティを払い、場合によっては無罰でゲームを進行させることができる。
ペナルティは罰打と呼ばれるが、果たして全てが罰だろうか。単純に罰のこともあるが、このシステムがあるおかげでゲームが続けられるという救済色が強いケースも多々あると思う。
カジュアルウォーター、修理地、穴掘り動物の穴などにあるボールは、「異常な状態」に該当するため、無罰で救済される。
雨、雪などでコースにできた水たまり、これをカジュアルウォーターという。ここにボールが入ったとき、スタンスがここにかかるとき、この救済を受けることができる。
修理地とは、コース内の修理が必要とされているところをいい、青杭で標示されている。特別標示がなくとも、どこかに移す目的で一時的に積み上げられているものなどもこれに準ずる。
上のケースの救済方法は、ホールに近づかずに水たまり、修理地などを避けられ、かつボールにもっとも近いニアレストポイントをまず定め、そこからホールに近づかない1クラブ圏内にドロップする。というもの
但しこれらは、「・・・できる」
であることから、知らなければこの救済は受けられない。救済知らずは、自己責任である。
障害物には、コース内の人工物、空き缶、たばこの吸い殻、バンカーならしなどの「動かせる障害物」とカート道、スプリンクラー、支柱などの「動かせない障害物」とがある。
動かせない障害物の救済方法は、ホールに近づかずに動かせない障害物を避けられ、かつボールにもっとも近いニアレストポイントをまず定め、そこからホールに近づかない1クラブ圏内にドロップするというもの。
動かせる障害物は、コースのどこにあっても取り除ける。なお取り除くときは、ボールが動かないよう、マークしてから取り除こう。
これらも「異常な状態」同様、救済知らずは自己責任である。
ゴルフは「あるがまま」(PLAY THE BALL AS IT LIES)でゲームは進められていくことが、大原則であるが、それが難しいケースも多々ある。
ここでは、「異常なグラウンドの状態」「グラウンドにある障害物」以外で、ペナルティなしでゲームを進行させることができるケースをいくつか紹介していきたい。
カラスや犬などがボールをくわえていってしまったといったケース。これを追いかけていてはゲームにならない。ドロップにて、ゲーム再開。
ボールの亀裂、破損などでプレーに不適となってしまったボールの取替え。同伴者などに申告のうえボールをとり替え、リプレース。
自分のボールが識別できないケース。ボールを拾い上げ、必要最小限の範囲で泥、汚れを取り除き、確認後リプレース。
いずれもプレーヤーの責任でなく、不可抗力的なケースである。これらにペナルティを課していたのでは、プレーヤーはやってられない。
OBとはアウトオブバウンズの略。白杭や白線で示されたプレーが禁止されている区域をいう。ここにボールに打ち込んだ場合は、元の場所に戻り、1ペナルティを課した上、打ち直すことになる。
打ったボールが見つからない、このボールのことをロストボール、あるいは紛失球という。OB同様、元の場所に戻り、1ペナルティを課した上、打ち直すことになる。
一打の罰とはいうものの、打った場所に戻って1打を足すことから、事実上2打に相当するダメージ。
なお、OBが予想される場合、、深いラフ、林、谷などに打ち込んでしまいボールの紛失が予想される場合などには、打ち直しに戻る時間の節約のために、暫定球を打っておこう。その際には、同伴競技者にその意思を宣言すべし。これがないと、暫定球とは見なされないので、注意を要す。
ボールが木の根っこ、茂みの中、大きな石の陰などに止まるなどして、プレー不可能「手も足も出ない」と判断した時、宣言するのがアンプレアブル。これは、あるがままにプレーすることのできない、或いはプレーしたくないボールに対してペナルティを払い、ゲームを進行させる措置である。
球がウォーターハザードの中にある時を除いて、コース上のどこでも宣言することができる。そしてアンプレアブルを宣言できるのは、プレーヤー自身だけ。払うペナルティは1打。ルールとして認められているからには、これは賢く利用したい。
元の打球位置に戻るか、ホールとボールを結んだ後方にドロップするか、ボールから2クラブレングス以内でホールに近づかない位置にドロップするか、処し方はこの三者択一。
2番目の処し方を知らなかったため、ペナルティを払いながら、次打をまだ林の中から打っている人がいる。どうせ知るなら、正しく知るほうがお得。
また、バンカー内で2、3番目の処し方を選択した場合には、バンカー内にドロップしなくてはならないので注意。
池ポチャしたボール、ウォーターハザードでの処理は、ボールがハザード区域を横切った地点とボールの確認が必要で、これができなければ紛失球として処理することになる。
ウォーターハザードのボールの処理は、ノーペナで、そのまま打つ、そのボールを打った場所に戻りドロップし、1ペナを課しプレーを再開する、ホールとボールがウォーターハザードを横切った地点とを結んだ後方にドロップし、1ペナを課しプレーを再開するの三者択一。
ウォーターハザードの一類型であるラテラルウォーターハザードの処し方は、その形状からウォーターハザードの3番目の処し方が難しいために、別の処し方がある。これは説明が難しい。実戦で確認して欲しい。
選択肢の一つに「ノーペナで、そのまま打つ」はあるが、実際にはお勧めできない。フェアウェイ、ラフ、バンカー、そして林の中で上手く打てないのに、どうして水の中のボールが上手く打てようか。ゴルフは確率のゲーム
自分に有利に、その行為には重い罰が課せられる。2ペナルティ
自分に有利になるような行為とは、アドバイスを受ける、プレーの援助となるようなことをする、或いはしてもらう、土や砂のテストをする、足場やライの改善をする、スイング区域の改善をするなどで、これら類似行為全般が対象になる。
怪しげな行為は、しないにこしたことはない。特にアドバイスは、アドバイスを受けた人だけでなく、アドバイスをした人にも2打罰が課せられる。ゴルフの場合、このアドバイスは小さな親切、大きなお世話。謹んでお断りするのが正しい。
ゲームを進めていく中でのプレーヤーの味方は、キャディさんだけ。キャディさんからのアドバイスは、問題なし。また、何打罰、ハザードの位置、ピンの位置などの公知の情報は、アドバイスではないので、ペナルティの対象にはならない。
ホールをスタートしていく場所のことをティーグラウンドという。正しくはティーインググラウンド。
ティーグラウンドには丸い2つのティーマーカーがあり
ここがティーアップできる幅であることを示しています。奥行はおおよそドラーバー2本分までで、この範囲外から打つと、2ペナルティが課せられる。
なかでも前方にはみ出したケースを「出べそ」という。少しでも前から、グリーンに近いところから、の気持ちはわからないではないが、こんなつまらないことでペナルティを課せられるのはもったいない。
出べそから打ってOBになった場合は、2打罰を加えて再度打ち直すことになるが、この場合はOBの罰は加えなくてもいい。
自己のインプレーのボール以外のボールを打つことを誤球でのプレーという。誤球した場合は、2ペナルティが課せられ、改めて正球をプレーしなければならない。
ティショットからそのホールをホールアウトするまでのインプレーの間は、特別の場合を除き、同じボールでプレーしなければならない。違うボールを打ってしまうと、誤球でのプレーとなってしまう。
ちなみに特別の場合とは、暫定球のように、規則で認められた第2球でのプレーなどをいう。誤球をしないため、面倒臭がらずに識別マークをつけておくことは、同伴競技者に対するエチケットともいえる。同伴パーティーの中で、同メーカーのボールを使っている人も少なくない。
誤球でのプレー同様、誤所からのプレーも2ペナルティが課せられる。誤所からのプレーになる主な原因は、救済などを受けた時に、誤った場所にプレース、リプレース、あるいはドロップしてしまったなど。
ハザードでやっていけないことのひとつは、アドレスでクラブのソールを砂につけてはいけないということ。池や川などのウォーターハザードやバンカーなどでは、このソールは禁止行為となる。ソールをしてしまうと2ペナルティが課せられる。
クラブヘッドの底の部分、ソールを地面につけるという行為は、ティグラウンド、スルーザグリーン、そしてグリーン上では、なんの問題もない。
ハザード内でのもう一つの禁止行為が、ルースインペディメントの取り除き。このルースインペディメントは、ティグラウンド、スルーザグリーン、グリーン上では、無罰で取り除けるが、これをハザードでしてしまうと、2ペナルティが課せられる。
ちなみにルースインペディメントとは、自然物のこと。石、木の葉、木の枝など、動物の糞、虫類や、虫類が地上に吐き出したり、掻き出したものなどをいう。

グリーンに上がったら、まずボールマークを修復するのがエチケット。しかし直してはならないものもある、それがスパイク跡。これは、そのホールをホールアウトするまでは、決して直してはならない。したがって、人のパッティングラインには十分注意し、けっして踏んではならない。もし直してしまうと「パットの線に触れたペナルティ」2打罰が課せられる。この場合、後続のためにホールアウト後に修復するのが正しい。
他グリーン上からプレーしたボールをグリーン上の他のボールに当てる、ホールにさしてある旗竿、抜いて置いてある旗竿に当てるなども、2打罰が課せられる。
グリーン上では、多くのエチケット、マナー、そして多くのペナルティにかかわるルールがある。注意を要するエリアである。
ペナルティは煩雑で、難しいと敬遠されがちであるが、カテゴリー分けしてみるとそれほどでもない。
自分に有利に働くことをする、或いはしてもらう、自分の不注意、不理解で誤った行為をしてしまうなど
自分の行為に問題があった場合 ・・・2打罰
あるがままでのプレーが難しい局面での、救済とその代償としてのペナルティ
自分の打球に関する救済 ・・・1打罰
打球に関する規定の中でも、コースの事情、天候・動物などによるもの
不可抗力がプレーを難しくしている場合の救済 ・・・無 罰
お気付きだろうか、ゴルフではプレーヤーの不正行為には厳しく、プレーヤーが打ったボールには比較的優しいのだ。
「ボールが打てて半人前、ルールがわかって一人前」
(初代PGAツアーコミッショナー ジョセフ・ダイ)
正規のルールにはない、そのコース独自に設けられているのがローカルルール。仲間内のコンペに限って、その仲間内だけに通用するものがコンペルール。代表的なものは
プレイング4、前進4打とも呼ばれるルール。ティーショットがOBとなった場合、前方のフェアウェーに設けられた特設ティーから4打目としてプレーしていくというもの。
6インチプレイスと呼ばれるルール。スルーザグリーンのボールを、6インチ(およそ15㎝)動かしてプレーしてもよいというルール。木立などによりスタイミーになっているボール、深いラフのボール、ディボット跡にハマったボールなどを、ボールから6インチの範囲でホールに近づかないライ(ボール周辺の芝や足場の状況)の良い場所に動かして打てるというもの。ちなみに6インチはスコアカードの対角線が目安になる。
1グリップOKと呼ばれるルール。ワングリップ(およそ25㎝)程度のショートパットを、省略してもいいというルール。1打を足してボールをピックアップする。拾い上げるのは、同伴者からの同意OKを得てからで、自己判断ではない。
スムーズなラウンド進行のために設けられているのがローカルルールであり、コンペルールである。そのため、ラウンド時間の短縮を目的としたものが多い。ちなみにゴルフ場が目安とするラウンドハーフの所要時間は概ね2時間15分程度である。